新型コロナウイルスのEコマースへの影響: 統計|SaleCycleブログ
新型コロナウイルスが猛威を振るう中、ネットショッピング行動が受けている影響について、データを用いて見ていきたいと思います。
これは前例のない状況で、数週間、数ヶ月後にも事態は大きく変わっていることでしょう。
2020年3月時点の弊社のデータは、放棄レートなどいくつかの指標で様々なセクターを分析し、3月に入ってからの18日間を、2019年の平均と比較するものです。
カート放棄レート
通常では、放棄レートはチェックアウトプロセスの長さ、商品の価格、購入前のリサーチ量などの要因によって影響されます。
季節トレンドやセールなどの他の要因も考えられます。例えば、消費者がプロモーションに敏感なため、11.11(独身の日)やブラックフライデーなどのイベント時には放棄レートが低下します。
放棄レートの低下は、特定の商品やサービスへの需要の増加を反映しているとも言えます。例えば、保険業界では11%、そして携帯キャリア界では2%、放棄レートが低下しています。
他のセクターにおいては、需要の増加とは裏腹に、放棄レートは通常よりも高くなっています。
例えば食料品です。オンライン食料品ショッピングの大手、Ocadoは、このセクターでの自宅配送の需要の増加を示しています。
しかし、食料品セクターでは放棄レートは上昇しており、通常時よりも8%ほど高くなっています。
この原因としては、過剰な買いだめによる品薄状態や、想定以上のトラフィックを受けてのウェブサイトの処理能力低下などが考えられます。
セクター別の平均注文金額(AOV)
セクター毎の平均注文金額(AOV)を見てみると、消費者は通常時よりも多めに消費していることがわかります。
食料品、医薬品、一般小売におけるAOVは、消費者が今この状況で必要な商品を買い求めるため、大きく増加しています。
旅行関係の商品は予想通り低迷しており、一方で保険業界のAOVは普段よりも格段と高くなっています。
セクター別のコンバージョン・売上増加
新型コロナウイルスの特定のサイトへの影響を詳しく見るために、特定のセクターの統計も参照していきます。
ここでは2020年2月を、2019年同時期と比較しています。
この売り上げ増加数値は、カート放棄EメールやSMSがリテーラーの注文金額を増加させるという理論の証拠です。リカバー(回収)されたAOVは、直接売上よりも注文金額が高い傾向にあります。
食料品通販サイトは、影響が最も表れやすいエリアで、AOVが年々増加していることがわかります。
保険サイトを見てみると、放棄や注文金額に大きな影響が生じていますが、同時にカート放棄Eメールからのコンバージョン率や売り上げ増加率も高まっています。
家庭用品・DIYは、消費者の在宅時間が伸び始めた段階から影響を受けているセクターです。
従来は初春辺りに盛り上がる業界でしたが、消費者が自宅で過ごすようになったことで、現在はオンラインで成長しているセクターです。
まとめ
John Lewis、Selfridges、Schuhなどの大手小売り企業が物理店舗を閉めているこの期間では、様々な小売り業界でオンラインショッピングへの大規模な移行が起きることでしょう。
この混乱の中、リテーラーの目前には高い壁が立ち塞がっています。トラフィックが減っている場合は、残ったトラフィックをどう活かすかなどの、コンバージョン率の上昇へ向けた戦略が重要です。
他のセクターでは、急増する需要への対応力や、このような非常事態における在庫管理や配送パフォーマンスの維持が問われています。