モバイルコンバージョン率がデスクトップよりも低い理由とは?|SaleCycleブログ
弊社の「2020年Eコマース統計レポート」掲載のデータによると、モバイルでの売り上げは伸びていますが、消費者はまだデスクトップでのショッピングを好むようです。
本稿では統計データを見ながら、リテーラーのモバイル顧客体験向上戦略をご提案します。
このデータでは、現代のリテーラーが呼び込む閲覧数の65%をモバイル端末が占めていることがわかります。売り上げの話になると規模は小さくなりますが、まだ多数(53%)をモバイルが占めています。
観光業界の現状は異なり、トラフィックの半数ほど(53%)がモバイルから来ていますが、売り上げではたったの29%のシェアです。
このデータを最後に分析した2年前から、モバイル端末の力が強まっているのは明らかです。
全体のモバイルトラフィックは51.3%から65%に、そして売り上げは36.8%から53%に成長しています。
Monetate社の統計によると、モバイルトラフィックはデスクトップに比べて半分程度しかコンバートに繋がっておらず、デスクトップの4.81%に対してモバイルは2.25%となっています。
しかし、カート投入率で比較すると、モバイルとデスクトップの間の差は一気に縮まります。例えば、平均カート投入率はモバイルでは10.4%、デスクトップでは11.87%です。
このデータが示しているのは、モバイル閲覧者がぶつかる壁というのは、ほとんどがチェックアウトプロセス(観光業界ではブッキングプロセス)中に存在するということです。
モバイル用のチェックアウトプロセスの改善方法
ではモバイルコンバージョン率の低さの元凶がチェックアウトにあるとすれば、ウェブサイトはどのように改善するべきでしょうか?
最終的に重要なのは、プロセスがモバイル端末上でも正常に機能すること、そしてフォームなどの情報入力を最小限に抑えることです。
モバイルフォーム
デザインが洗練されたモバイルフォームは、コンバージョンに大きな影響を与えます。摩擦を減らし、必要事項をユーザーに明確にし、カゴ落ちを最小限に抑えます。
フォームはモバイル端末上での入力が簡単であるべきで、見やすいデザイン、明白なラベル、有用なエラーメッセージ、そして可能な限りの短さでユーザーの負担を減らしましょう。
モバイルユーザー向けのショートカット
ユーザー側の負担を減らすためのどんな手段でも効果は望めます。そこで、スマートフォンの機能を活用する方法もあります。
例えば、パスポートやクレジットカードのスキャン機能を活用すれば、ユーザーが情報を手で入力する必要がなくなり、チェックアウト中の負担を減らすことができます。
各入力欄に最適なキーボードへの自動切換え(Monsoonが電話番号入力欄に導入しています)や、入力欄をオートフィル機能で埋める仕組みなど、小さな気遣いが大きな時間と負担の軽減に繋がります。
ブッキングプロセスの簡略化
上記データ内のいくつかのセクターのうち、モバイル端末という壁が最も高く立ちはだかっているのは観光業界です。これは、どうしても他の小売りよりもブッキングが複雑になってしまうからです。
例えば旅行プランの予約の際には、ユーザーには従来通りの住所や支払い方法に加え、ホテルやフライトの選択や、パスポート番号、旅行者情報、機内オプションの入力が求められます。
モバイル端末対応のカギは、フォームを新たにデザインするなど、このブッキングプロセスを極力モバイル端末に優しくすることです。
例えば1行ずつのデザインや大きめの入力欄などの、こちらのBest Westernがチェックアウトフォームに取り入れているような要素によって、ユーザー側の情報入力を手伝いながらミスを最小限に抑えることができます。
スマートフォンの機能も、情報入力を効率化し、ユーザーの負担を軽減することでプロセスの簡略化に繋がります。
例えば、easyJetのモバイルアプリに導入されている、スキャン機能はたった20秒でユーザーのパスポート情報をスキャンし、処理することができます。
モバイルコンバージョンメッセージ
サイト閲覧者がモバイル・デスクトップのどちらを使っていても、緊急性の活用など、コンバージョン率最適化戦略は売り上げ増加に直結します。
そして、これらのメソッドをモバイル向けに調整することも重要です。こちらでは、DFDSがトレンドデータを用いて検討中のクルーズの人気度を表示すると同時に、後で戻って来れるようにブッキングの詳細を保存する機能も提供しています。
詳細情報の保存は、特に顧客が最終的な決断をするまでに閲覧と放棄を繰り返す観光業界では、重要です。
情報を保存することで、リテーラーやトラベルサイトは顧客にブッキングをリマインドするEメールを送ることが可能になり、継続的に印象を与えることができます。
また、カウントダウンタイマーなどの緊急性を活かしたマーケティングもモバイルEメールにて活用でき、例えばセール期間や特別キャンペーンの残り時間をハイライトするような仕組みを活用できます。
支払い方法の選択肢
モバイル端末上のチェックアウトにおける大きなポイントの一つは、支払い情報の入力です。これは小さな画面では時間がかかり、ストレスの原因にもなり得るため、どんなショートカットでも効果があります。
一つの改善策としては、可能な箇所では顧客の支払い情報を保存する機能です。これで顧客はログイン後、住所やカード情報を入力せずにチェックアウトを完了できます。
もう一つの方法は、便利なショートカットを活用できる支払い方法の選択肢を提供することです。
PayPalやAmazon Payなどの大手デジタルウォレットや、VisaやMastercardなどの新たなオプションなどの、チェックアウトをEメールアドレスとパスワードの入力のみで完了できる方法が活用できます。
Apple PayやGoogle Payなどのモバイルキャッシュレスの場合、Face IDや指紋認証のみで完結することになり、前述のオプションよりも更に簡単になります。
モバイルとデスクトップの売り上げ傾向、そしてその他Eコマース関連の豊富なデータについては、弊社の2020年Eコマース統計レポートをご覧ください。