セールスイベントがカート放棄率に及ぼす影響とは?|SaleCycleブログ
小売り業者にとってのカート放棄率は、時期によって様々な理由で上下します。これらの理由の1つとして、ディスカウントやプロモーションなどの、放棄に大きな影響を及ぼすセールスイベントが挙がります。
下記のチャートは、2019年の上半期の放棄率を示し、上記の点を深掘りしています。
6つの小売り業界全ての放棄率は、2019年1月に一度下がり、その後2月に再び上がっています。
シンプルな説明としては、1月はほとんどのリテーラーがクリスマス直後のセールを開催し、消費者を引き寄せているというポイントがあります。これは消費者が放棄しにくいということを意味し、全体的な放棄レートが減少します。
また、放棄レートは季節イベントや購買傾向にも影響されます。
例えば、家庭用品&DIYリテーラーの放棄レートは2・3月頃下がり始め、4月の上旬には最低になる傾向があります。
これはDIYや家庭用品における典型的な購買傾向で、春が近づくにつれて消費者のアウトドア系アクティビティが増えることが要因の一つだと考えられます。
2018年のブラックフライデーから収集したデータを活用し、セールスイベントが購買傾向へもたらす影響を分析します。
この図は、SaleCycleのデータを用いて、ブラックフライデーの週末、そしてその直前の1週間の消費傾向をまとめたものです。
ブラックフライデーに向けて、日に日に売上が増加しており、当日が最大であることが見て取れます。
放棄に注目しても同様のパターンが確認でき、ブラックフライデーの週末に向けて放棄件数も着々と増えています。
これはたくさんの放棄があるように見えますが、放棄はトラフィックに比例しています。ということは、ブラックフライデーでは放棄は増えますが、トラフィックも同じように増加しているのです。
放棄レートに注目してみると、ブラックフライデー当日に下がり、サイバーマンデーでも再び下がっています。
前週の金曜日の平均放棄レートは85.1%だったのに対し、ブラックフライデーでは80.9%、サイバーマンデーでは82.8%まで下がりました。比較対象として、H1 2019における平均放棄レートは84%でした。
統計を見ると、セールスイベント直前に放棄レートが高い原因は、消費者が「少し待てば得をする」ということを知っているからだと考えられます。
Googleの統計によると、オンラインショッピング利用者にとって、商品の値段、無料配送、そしてプロモーションなどが最も大きな影響を与えています(これはイギリスの消費者も同様です)。
これらの要素は放棄レートにも影響を及ぼします。消費者がベストな価格で購入していると感じた場合、放棄する確率は下がり、放棄レートも下がります。これはブラックフライデーとサイバーマンデーの両方に適用するロジックです。
緊急性や在庫の少なさをセールスに結び付けることでも放棄レートを下げることができます。消費者が本当に商品を購入したくても、特定の値段で購入できるのが期間限定の場合は、放棄の確立は下がります。
リテーラー側がこれを活用するには、顧客にセールが期間限定であること、そして取り逃さないよう決断を迫ることが効果的です。
カウントダウンタイマーは緊急性を助長する一つの方法で、特別な割引などを受けるための制限時間を顧客に伝えるものです。
カウントダウンタイマーはいつでもとても効果的ですが、セール期間中は更に良い結果を出すことができます。
弊社は2018年のブラックフライデー前後の期間にカウントダウンタイマーを利用した6社のクライアントを調査し、総合コンバージョンレートが200%以上増加したという結果が出ました。
ブラックフライデーよりも前に売上を伸ばしたいと考えるリテーラーにとって、ブラックフライデーの週末に最大のセールが来ることを待つ、という消費者の傾向は妨げになりかねません。
ブラックフライデー前の放棄レートを抑える一つの方法は、こちらでBest Buyが「ドアバスター」割引で実践しているように、限定品や1日限定のセールを開催することです。
ブラックフライデー前に消費者が放棄した場合でも、カゴ落ちEメールを使って呼び戻すこともできますし、その後の一定期間は御社ブランドを消費者の頭の中に留めておくこともできます。
カゴ落ちEメールのコンバージョン率は、多くの場合ブラックフライデー前後に通常時よりも高くなる傾向があり、2018年のサンクスギビングデーには30%、そしてブラックフライデー当日には39%まで到達しています。