ブレグジットがもたらす、オンラインビジネスやサプライヤーへの影響とは?|SaleCycleブログ
本稿では、SaleCycleの社内弁護士兼データ保護担当役員Andrew Elvesが現在進行中のブレグジット問題によるオンラインビジネス業界への影響の可能性について考察していきます。
イギリスのEU離脱は今や世界中の誰もが注目しているビッグニュースです。政治家ですらブレグジットの結末は予想できませんが、イギリスがそうと決めれば、周りが何と言おうと起こってしまうのです。
ここでは、これから起こり得る結果や、いくつかの要注意事項をまとめていきます。
ブレグジットの影響として起こり得る結果4つ:
合意なし
イギリスがEUとの合意なしに離脱した場合、これは崖っぷちの状況と言えるでしょう。
合意がない場合、EUとイギリスの間の人、モノ、そしてデータの自由貿易が影響を受けます。
サプライチェーンにおける具体的な影響としては、イギリスによる輸入出に遅延や、税関検査の増加によるイギリスEU間の商品の製造及び輸送の遅延が考えられます。
さらに、イギリスとEUの間で、現在活用されているデータの流れの自由も、離脱の影響を受けます。ControllersとProcessorsが制定する「適切な基準」により、EUからイギリスへの国際データ転送は「第三国」として扱われることになります。
GDPRの一件もありましたが、こちらもまた企業が直面するコンプライアンス面の課題となるでしょう。しかし、実際には本件はGDPRへの対応と比較するとかなり単純であり、イギリス関係の個人情報のやり取りにはEU標準的契約条項の適用を推奨されるというだけです。
当社の見解では、上記のシナリオは、ロンドンとブリュッセルの間に「合意なし」の状況を避けたいという政治的な意思が見られるため、本稿の4つのシナリオの中では一番可能性が低いものとなっています。ただ、もし起こった場合は、サプライチェーンに最も大きな影響を与えるシナリオではあります。
イギリス政府・EU間の合意
こちらは21ヶ月に及ぶ移行期間をもたらします。
この場合は、イギリスとEUの両者が合意し、移行期間を経て双方が将来の関係性を確立し、イギリスのEUからのスムーズな離脱のための時間を稼ぐ状況になります。
移行期間中はEUの法規がイギリスに適用され、人、モノ、データの自由貿易も維持されるため、各企業のサプライチェーンへの短期的な影響は無いでしょう。
長い移行期間の結末はまだ予想できないため、最終的な結末については何も言えません。
ブレグジット延期
イギリス政府がブレグジットを延期する可能性もあります。
この延期のためには、イギリスは日付を変更するための法改正を行い、EUとの合意までの時間を稼ぐ必要があります。ブレグジットが延期された場合も、サプライチェーンやデータ取引は現在と変わらず機能し、その間イギリスとEUは未来を模索することになります。
ブレグジット中止
最終的に、イギリスが再度投票などを行った場合には、ブレグジット自体がこのまま起こるかどうかも曖昧なところではあります。
この場合には、イギリスはEU離脱を取り消し、EUの関税同盟及び単一市場に残ることになります。全ての物事は現状維持となり、人材やデータの移動などのサプライチェーンにも影響を及ぼしません。
まとめ
ブレグジットの結末は、未だ終わりの見えないイギリス国内及びイギリスとEU間の法的な論争を乗り越えるまで誰にもわかりません。
ブレグジットはチャレンジとチャンスの両方を世界中の企業に与え、将来的なアドバンテージを取れるかどうかのテストになります。
SaleCycleでは、予め各シナリオを考慮し、対策を練っており、当社のサービスのシームレスな運用を継続するための準備をしてきました。
当社の法的及びコンプライアンスチームはイギリスとEUの展開・変化を常にモニターしており、この騒動については誰の記憶にも残ることだけは確かです。
このテーマについて更に詳しく調べたい方は、英国個人情報保護監督機関(ICO)のウェブサイトを閲覧する他、彼らの最近のブログを覗いてみるのも手かもしれません。
https://ico.org.uk/about-the-ico/news-and-events/blog-how-will-personal-data-continue-to-flow-after-brexit/
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