顧客行動予測を活用したブランド成長戦略|SaleCycleブログ

本稿では、ゲストのShane Barker氏が昨今マーケティング業界で話題の「顧客行動予測」についてお話しします。

顧客の行動データの収集は、もう時代遅れです。これからの時代では、企業はより積極的になり、顧客の次のステップを事前に予測することが必要です。

正確な予測分析は、ターゲット毎のマーケティング戦略を実現し、ブランド成長の推進力になります。

近年企業が顧客行動予測への投資に力を入れているのには、理由があります。それは、顧客インサイトがほぼ全てのビジネスプロセスの道標となっているためです。

AlteryxとAbsolutDataの最近の調査によると、顧客行動分析を売り上げ増加・マーケティングのツールとして活用しているマーケティング担当者は全体の69%となっています。更に、そのうちの63%は顧客満足度のために、46%は顧客ロイヤルティのために活用しています。

こうして、顧客行動分析の活用はブランド成長の手段になっています。効果的に使うために、まず顧客行動予測の基本を見ていきたいと思います。

顧客行動予測とは?

「顧客行動分析」とは、顧客のブランドに対するエンゲージメントの量的・質的評価を指します。これは3つに分けることができ:

  • 記述分析: 顧客のブランドとの過去の接触に対する評価
  • 予測分析: 顧客が今後起こすアクションの予測
  • 規範分析: ブランドが実行できるベストな対応の指示

予測分析は、「顧客行動予測」とも呼ばれています。こちらは、顧客の行動やアクションを、起こる前から予想する作業です。以下、顧客行動予測のいくつかの例です:

  • 食料品の買い物アプリから、「あなたのお好きなシリアルの買い忘れ」通知が届く
  • テレバンキング通話が自動的にあなたの言語に切り替わる
  • あなたの希望する支払い方法がチェックアウトの際にハイライトされる

顧客行動予測の概要は以上です。それではこれがどのようにブランドの力になるのか、見ていきましょう。

顧客行動予測がブランドへもたらすメリット

現代の超競争社会で勝ち残り、成功するためには、ブランドは顧客をしっかり掴んで離さないことが重要です。顧客行動予測は顧客が残す無数の「デジタルフットプリント」を活用し、ブランドが顧客の一歩前に先回りすることを可能にします。

以下、ブランドに対する予測分析の主なメリットです。

オーディエンスの的確なセグメンテーション

CRMシステムは顧客の基本情報を提供しますが、予測分析は顧客の日々変化する好みや行動などのダイナミックデータを確保します。

流動的な顧客属性の作成のために、無数の変数が測定されます。この個人情報は、従来のものよりも大幅に重要度の高いものであり、曖昧な人口統計や過去のトランザクションに基づく分析はもはや時代遅れです。

予測する力を用いて、企業は顧客の実質的な「価値」を測ることができます。特定の顧客への対応に、どの程度の労力や時間をかければ良いのかを瞬時に判断することもできます。加えて、ブランドはアップセリングやクロスセリングの効果を発揮する、重要度の高い顧客グループを特定することも可能です。

また、賢いセグメンテーションは、前向きな購入体験を周囲に拡散してくれる顧客グループへとブランドを近づけることもできます。これらの顧客への対応に少し時間をかければ、広告塔になる期待もあります。ポジティブなブランドイメージを作り、新たな顧客を呼び込む手伝いをしてくれる可能性があるのです。

パーソナライズされたマーケティング体験

ブランドに求める物は、顧客毎に異なります。企業が顧客と彼らの行動を左右する要因についての理解を深めることで、最高の顧客体験の実現へと近づくことができます。満足した顧客はリピーターになる可能性が高いため、この方法は顧客ロイヤルティを確保する戦略になります。

これまでは、ブランドは顧客の意図を汲み取るためには当て推量や仮定に頼るしかありませんでした。その後、POS(販売時点情報管理)や顧客人口統計などの曖昧なデータソースへと移行しました。現在、ブランドはAI、端末生成データ、ソーシャルメディア分析などの最先端チャンネルを駆使し、顧客への理解を深めようとしています。

顧客行動予測の基盤は、AI技術の応用であるディープラーニングです。ディープラーニングとは、変数などの膨大なデータベースを、階層化(ニューラル)アルゴリズムを構築して処理する技術です。マーケティング担当者が過去、現存、そして候補になっている顧客に関する情報をディープラーニングモデルに読み込ませると、各顧客の好みや動機についての完璧に近い予測を得ることができます。

AIが提供するこの知識を用いて、ブランドは各ターゲットグループの期待に合わせたコンテンツ、商品、その他サービスなどを提供し、より速いコンバージョンを実現することができます。
CortexHootsuiteZoho Socialなどのプラットフォームは、オーディエンスのニーズや嗜好に合わせてコンテンツを最適化できるAI搭載機能を持っています。

例えば、Cortexは業界トレンドを分析し、業界の視覚言語に関する最新情報を常に提供しています。また、各ブランドに対し、最も効果の期待できるテーマ、色、機能、構成なども考案します。

この点について、より理解しやすくするために、Netflixを例に考えてみたいと思います。
このOTT(オーバー・ザ・トップ)メガブランドは、AIに基づく高品質のコンテンツレコメンデーションシステムを採用しています。Netflix曰く、このアルゴリズムは利用登録者が消費する全コンテンツのうちの80%に影響するほど強力で、毎年10億ドルもの顧客保持コストを削減しているとのことです。

集中的なメッセージング

「数撃ちゃ当たる」戦法は、今ではもう効果はありません。
連絡先リスト全体に大量のSMSやEメールを配信する作業は、コストが高い上にリターンも少なくなります。

顧客の購入パターンを詳しく観察している企業は、次のステップに向けたある程度鮮明なアイデアがあり、状況に応じた自動メッセージングを実現しています。このような自動テキストメッセージは少ない労力でコンバージョンを生み出します。

例えば、あるウェブサイトにはたくさんの閲覧者がいますが、商品カタログを探索するだけで何も買わないとします。そこで、顧客行動予測を活用して閲覧者情報を分析し、パーチェスファネルから離脱する特定のポイントを割り出すことができます。この結果を基に、必要な変更を重ねて、顧客からの利益を増やすことができます。

画像出典: Apigee Insights

ブランドは、SMSマーケティングをEメールマーケティングで補強することで、顧客インサイトを最大限活用することができます。トリガーされた自動SMSの後にタイミングを計って配信されるEメールは、カート放棄率を下げ、失われたサイト閲覧者の再エンゲージに繋がります。

他にも…

顧客行動の分析は、オーディエンスの最もアクティブな時間や、成功率の最も高いEメール件名なども暴きます。マーケティング担当者はこの情報を用いて、Eメールマーケティング戦略を最適化することができます。

コンバージョンレート最適化も、メッセージングを通したコンバージョン促進に有効な戦略です。

期間限定のクーポンコードやカウントダウンタイマーは、サイト閲覧者の中に焦りを生み、コンバージョンを後押しします。ここでも、閲覧者の反応に対する予測分析の活用で最も効果のあるキャンペーンの提供が可能になります。

まとめ

飽和状態にある市場環境では、企業が生き残るにはお互いを戦略で超える必要があります。顧客と同じ歩幅で歩く企業は、ライバルと大きな差をつけることができます。

このような企業は、次のマーケティングステップや商品ラインを戦略的に計画することができます。また、ビジネスリスクを大幅に緩和し、ブランドの成長の材料になります。

筆者について

Shane Barker氏は、デジタルマーケティングコンサルタントとして15年の経験を持ち、直近5年間はインフルエンサーマーケティングに注目しています。

筆者はパーチェスファネル、ターゲットトラフィック、ウェブサイトコンバージョンの専門家です。フォーチュン500掲載企業、デジタル商品のインフルエンサー、そして大物有名人のコンサルティング経験を持ちます。

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